住宅街の一角に、大きな屋根を広げて佇む大塚邸。駐車場からたて格子の壁と縁側に囲まれたアプローチを通って玄関まで行くと、着物姿の奥様が出迎えてくれました。
「実家が日田の掛屋の流れで古い家に住んでいたので、“町家風”にしたかったんです」と奥様がおっしゃるように、二間もの大きな玄関の戸を開けると、1枚板のつややかな上がり框と廊下、その向こうに広い畳の間と渡り廊下が見えます。
着物姿の奥様といい、この風景といい、まるで江戸時代にでもタイムスリップしたかのようです。
そして、さらに足を進めると今度は大きな天井と梁が印象的な空間。壁いっぱいにしつらえた本棚にはたくさんの本が整然と並び、その前では、初めて火を入れたという囲炉裏がパチパチと微かな音を立てています。オープンキッチンと連なるダイナミックな空間は約20畳大。こちらはご主人の希望で、古民家風のつくりになっています。
「堀炬燵の囲炉裏は、地鶏や鮎や椎茸を焼いてカッポ酒を飲みたいがために造りました。母屋が生活の場なので、ここは迎賓室みたいなものです」とご主人。
この冬、囲炉裏端にご家族や友人が集い、温かいお酒を飲みながら和やかなひと時を過ごされるに違いありません。
「田舎モダンにこだわった」という重厚感のある切り妻屋根の住まい。
囲炉裏の周りは畳敷き。本棚からキッチン下の収納までオリジナル。
長い渡り廊下で母屋と新しい住まいを自由に行き来できる大塚邸は、まるで昔のお屋敷のよう。焦茶色に彩色された柱や床、格子の意匠を取り入れた建具など隅々まで日本古来の風情が漂います。
「家づくりには前から興味があったので、雑誌などを見てイメージだけ伝えて、間取りはお任せでした。コテコテにしてくれとお願いしたんです。建具の桟の数や廊下の色、照明などその都度、大工さんと相談しながらつくりました。当初は天井をこんなに高くするとはおもっていませんでしたが、同じような梁や骨組みを実際に取り入れているお店に行って、ていねいに説明してくれたので安心でした」とご主人。
アプローチの格子壁や大きく張り出した軒は社長さんのアドバイスで、大きな梁や厚みのある上がり框も、県外まで足を運んで大塚邸のために見つけてきたものです。
「キッチン下の棚は杉の一枚板、囲炉裏のテーブルは椋、フタはケヤキとそれぞれに風合いが違います。木が古くなると味が出て来る。それも楽しみです」と奥様はおっしゃいます。
しっかりとしたイメージをお持ちだったご夫婦の思いに、プロのアドバイスと技術力をプラスし、長年の夢をカタチにした大塚邸。
ご友人や地域の評判の良さから首藤工務店に家づくりを依頼したというご夫婦は、そん丁寧な仕事ぶりに大変満足しているご様子です。